入社以来、小学校英語と中学校国語のデジタル教科書・教材の制作を担当してきました。現在は、小学校国語の教科書と、デジタル教科書・教材の企画・制作に携わっています。
編集部では、企画立案や掲載する作品の選定、執筆者への原稿依頼など、教科書を作るためのあらゆる業務を行います。例えば、作品を選定するときには、編集部員が書店や図書館を回って、候補作品を探します。みんなで集めた作品を読み合って検討するのですが、候補作品は数百にも上ります。すばらしい作品であっても、国語科として指導したい事項を満たせないなど、掲載までのハードルは高いです。探してきた作品が掲載に至らず悔しい思いもしますが、全国の子どもたちに読んでもらいたい、よりよい作品を追求する仕事には、やりがいがあります。作品の選定だけでなく、教科書作りの全ての過程において、細部にまでこだわって一ページ一ページを作っていく先輩方の姿に学びながら、日々を過ごしています。
教科書紙面だけではなく、学習に役立つ動画などの資料も制作します。これまでには、教科書に書き下ろしていただいた作品の作者へのインタビューなどを企画してきました。「子どもたちが作品に向かう意欲を高め、学習内容についての理解を深められるものに」ということをコンセプトに、インタビューの内容を考えました。撮影では、作品や表現への作者のこだわりや、読者である子どもたちに対しての思いなどを、じかに伺うことができ、とても貴重な経験となりました。長時間にわたったインタビューの内容は、全てそのまま子どもたちに見てもらいたいくらいだったので、動画として構成し直すことには難しさもありました。「子どもたちに、この言葉を届けたい」「作者の思いを余さず伝えたい」と考え、何度も構成を練り直しました。完成した動画をご覧になった作者の方が「いい動画になった」と言ってくださったときは嬉しかったです。
こうして作った教材は、デジタル教科書・教材にも収録します。デジタル教科書・教材には、総ルビ表示や機械音声での文字の読み上げなど、さまざまな機能があり、多様な子どもたちの学びを支えています。また、動画や音声などの他にも、端末上で、紙面にある文章を抜き出したり、カードを動かしたりといった、学習を深める多様なコンテンツを収録しています。これらを企画・制作するのも私たちの仕事です。紙にもデジタルにも、それぞれのよさがあります。使いやすいと感じるものは、子どもたち一人一人の特性や、使用場面によって変わってきます。学校では、子どもたちが一人一台、端末を持つようになりました。学びの選択肢を増やす新しいコンテンツやツールを作ることで、子どもたちの可能性を広げられたらと思っています。
多くの人たちと関わりながら、「子どもたちのために」という思いを実現できるのは、この仕事の魅力の一つです。作家の方が書き下ろしてくださったすばらしい作品や、デザイナーによってきれいに見やすくデザインされた紙面、自分の頭の中にあったデジタルコンテンツが実際に動作するところなどを見るときに、やりがいを感じます。さまざまな人の力を借りながら、思いを形にしていくには、自分の中で、実現したいことや具体的なイメージをしっかりもつことと、それをいっしょに働く人に分かりやすく伝えることが必要だと感じています。また、そうして形になったものを、教室で子どもたちが使ってくれているところを見るときには、感慨深いものがあります。その体験が、次の教科書を制作するときの原動力になっています。
教科書や教材が、実際に現場で使われるようになると、子どもたちや先生が困っていることも見えてくると思います。作ったものが世に出て、現場で使われることで気づく、新たな課題もあるはずです。作っているときには、「本当にこれが子どもたちのためになるのかな」と悩むことや、「こうしたらもっとよかったのかもしれない」と悔しく思うこともあります。これから、現場での様子や、教科書を使ってくれる子どもたちや先生の姿を見て、きちんと効果を確かめていく必要があると感じています。「作って終わり」ではなく、よいところも改善点も、次版以降のよりよい教科書・教材作りにつなげていきたいと思います。
9:30
出社。メール、一日のスケジュールをチェック。
10:00
社内会議。上司と教材案について検討。
11:00
午後からの制作会社との打ち合わせに向けて、資料を作成。
12:00
同期と会社近くのイタリアンでランチ。
13:00
制作会社との打ち合わせ。デジタル教科書のコンテンツ仕様について相談。
15:00
技術的な課題についてシステム課と打ち合わせ。
16:00
制作会社・システム課との打合せ結果を基に、コンテンツのデザインを検討。デザイナーに原稿を送る。
17:30
退社。大好きなアイドルグループのライブがあるため、東京ドームに直行!